研究課題名

ICTを利用した医療機関での脳卒中急性期診療の包括的改善のためのスキーム開発のための多施設共同前向き観察研究

研究機関

藤田医科大学

藤田医科大学

研究責任者

藤田医科大学病院
脳卒中科教授・松本省二

松本省二

1. 研究の実施体制

(1)研究形態

多施設共同研究

(2)本学内の研究組織

研究責任者

藤田医科大学 脳卒中科 教授
  松本 省二

研究分担者

藤田医科大学 脳卒中科 教授
  中原 一郎

藤田医科大学 医療の質管理室 教授
  安田 あゆ子

藤田医科大学 脳卒中科 客員准教授
  沖田 慎平

(3)共同研究代表者

研究代表者

藤田医科大学 脳卒中科 教授 松本省二

(4)共同研究機関及び関連機関

研究分担者

東京都立産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授
  小山 裕司

岐阜大学大学 医学部附属病院 先端医療・臨床研
究推進センター 助教
  石原 拓磨

研究協力者

藤田医科大学 脳卒中科 客員准教授
  青木 満

2. 研究期間

倫理審査委員会承認日 〜 2024年3月31日
倫理審査委員会承認日 〜 2024年3月31日(研究全体)

3. 研究の目的及び意義(概要)

 超急性期虚血性脳卒中に対するrecombinant tissue plasminogen activator (rt-PA)静注療法は、虚血性脳血管障害に対する画期的治療法として発症3時間以内の虚血性脳卒中に対して2005年10月に本邦で認可され、さらに2012年8月にその適応が発症から4.5時間以内に広げられた1)。さらに近年、血管内治療の進歩により脳主幹動脈閉塞を伴う超急性期虚血性脳卒中に対する経皮的血栓回収術の有効性が示されている2)

 これらの治療は発症早期に行うほど効果が高く、ガイドラインでは来院から治療開始までの時間(Door-to-Needle time; DNT)を30分〜1時間以内にすることが推奨されている1)-4)。しかし、超急性期脳卒中の治療方針決定には病歴確認、診察、血液や画像検査などの病院内の多部門に跨る多くの業務タスクがある。それらの業務を通常の診療業務を行いながら、迅速に処理することは医療現場の大きな負担となっている。さらに昨今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、救急現場には、さらに大きな負荷がかかっている。

 我々は、脳梗塞の診療プロセスの組織的な整備をICTで⽀援する<タスカル>というシステムを開発し、救急病院に試験導⼊し各種診療時間の短縮と医療スタッフの負担軽減効果を明らかにした(Matsumoto S. et.al. Frontiers in Neurology. 2019)。その後、組織マネジメントの総合的質管理Total quality management(TQM)⼿法を⽤いた診療プロセスの組織的な整備プログラムである<タスカル/TQMスキーム>を開発し藤⽥医科⼤学に試験導⼊。患者到着からtPAまでの時間を74分から37分に、来院から⾎管内治療までを139分から74分へと⼤幅な短縮を確認した。今回の研究では、<タスカル/TQMスキーム>を⽇本全国の様々な病院に導⼊することによる各病院の診療プロセスに与える影響と、その影響に関連する因⼦を明らかにし、さらに有効な<タスカル/TQMスキーム>を開発することを目的に、本研究を計画した。

4. 研究費

本研究は、日本学術振興会の科学研究費助成事業における基盤研究Bに採択され実施しております。